給与所得控除 高所得者は縮小方向に

財務省で随時開かれている政府税制調査会で、「給与所得控除」の見直しがテーマのひとつになっている。給与所得控除は、会社員が所得税を計算する際に、スーツ購入代など勤務に必要な支出を経費とみなして収入から差し引き、所得税負担を軽減する制度。“サラリーマンの必要経費”を補てんする制度とも言われてきたが、日本の世帯年収が上がり勤務関連経費の割合も減少傾向にあるなか、他の先進国と比べても控除額が手厚すぎるとの指摘が出ている。
会社員と同様の働き方をしながら給与所得控除が適用されない個人請負の労働者との不公平感も指摘される。これまでは、世帯主がひとつの企業に長く勤める終身雇用を基本として税制が設計されていたが、個人がインターネットなどを通じて企業から仕事を請け負って収入を得るシステムエンジニアなど働き方が多様化している昨今、会社員でないため給与所得控除が適用されない実情が問題視されている。今後も同様の働き方を選ぶ人が増加すると見込まれており、10月23日の総会では、時代の変化に合わせた税制見直しとして、所得の高い層を中心に控除を縮小し、会社に属さない労働者も控除を受けられるような制度の見直しが財務省側から提案された。
自民党の宮沢洋一税制調査会長も今夏、多様な働き方の観点からの見直しの必要性に言及しているが、控除額が引き下げになると税金が掛かる所得が増えるため、増税につながる可能性もある。負担が増える世帯の反発も想定され、実現は簡単ではなさそうだ。

提供元:エヌピー通信社

–「Tabisland」より-

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