インターネットを通じてモノやサービスを有償で貸し借りする「シェアリングエコノミー」など新ビジネスが急速に拡大する中、政府が課税漏れ防止に向けた対策の検討に入っている。個人同士が取引し、税務当局が個人の所得を正確に把握することができなくなりつつあるためだ。ただ、日本では来年から民泊が本格解禁される段階で海外から遅れている側面もあり、仲介業者に対して取引情報の提供を義務づけなどのルール化には企業側の反発も想定。税制改正の議論は、中長期的となる可能性もある。
シェアエコの代表的サービスには、宿泊サイトを介して民家やマンションに旅行客を泊める「民泊」、自家用車でも有料で相乗りを可能にする「ライドシェア」などがある。さらに、個人が洋服などを出品してネット上で売買する「フリーマーケット」や、個人の経験やスキルを基にネット上で企業と個人の仕事を結びつける形態のサービスも登場している。いずれも、利用者は仲介業者が提供するスマートフォンのアプリなどネット上で取引し、複数のサイトに登録する人も多いため、どのくらい所得を得たのかの把握が難しい現状にある。
個人が副業で得たお金は原則、年20万円を超える所得には所得税がかかり確定申告が必要となるが、衣類や家具などの売買では生活用動産とみなされて申告は必要ないなど新ビジネスに絡むルールは多い。確定申告の仕組みを知らず、従来以上に申告しない人が増える可能性もある。
日本に先だってシェアエコが拡大する海外でも課税逃れ対策は進みつつあり、フランスは2020年から仲介業者に対して、利用者間の取引情報を税務当局へ報告する仕組みを導入する。日本政府もこうした海外事例を参考にする方針だが、議論が進むかは見通せない。
提供元:エヌピー通信社
–「Tabisland」より-